[MN-015] リチウムポリマー用充電器

2004.05.10掲載
2004.12.01更新
 

充電方式について (2004.05.10)
 
 リチウムポリマー(イオン)の充電方式は定電流・定電圧式と言われていますが、最初にこの言葉を聞いたときは何のことやら良く分かりませんでした。
 簡単に説明すると、電圧が1セル当たり4.2V近くまでは定電流(通常1C)で充電し、その後、4.2Vを超えないように充電電流を減らしていくといった2段階のステップとなる充電方式です。満充電時は電圧4.20Vとなり充電電流は0となります。
 下の図はMAXIM社の充電用IC(MAX1737)の動作状態を抜粋したものです。

       FAST-CHARGE STATE -> 定電流充電
       FULL-CHARGE STATE -> 定電圧充電

  
 
 以下はネット上でよく見かける”意見・疑問”ですが自分が経験した範囲での見解を示します。

充電方式は単純(機械的)なので充電器による性能差は無い?
 
ニッカドの様に充電器によるバッテリの性能差は無いはずです。
ただし、電圧管理については4.2Vという終了電圧が絶対電圧ですので、充電器の電圧測定精度により10パーセント程度の満充電量の差が出る可能性はあると思います。
 
※ Δピーク方式などは相対的な電圧変動を正確に捉えることが性能差になりますが、その電圧の真値が必ずしも正確である必要は無いはずです。
 
○○社の充電器はよく入る。(よく入らない)
 
これはその充電器の電圧測定精度の問題だと思います。
 
充電器が定電圧状態に移行した際の充電量が約85%、充電電流が1/10Cまで下がった時が約95%位と書かれています。何度か条件を変えて計測してみましたが、MAX1737で3セルを充電した際のそれぞれの電圧は12.58Vと12.59Vとなります。この0.01Vの差でトータル充電量が10%も変わってしまうとすれば大変です。これについては放電量を実測して検証するつもりです。
 
”よく入らない充電器”はその終了電圧を測定誤差の分だけ下げていることが理由でしょう。逆に”よく入る充電器”というのは注意して使う必要があります。規格上の最大電圧は4.235Vといわれていますが、この上限を超えてしまう可能性があるからです。(特に多セル直列充電時)
 
充電時の室温も充電量にかなり影響を与えます。
 
自分のShulze isl-330dは電圧表示の誤差が。。ある箇所もありました。使用上の問題は無いことはその実績から分かりますが、自分の場合はリポの充電には使用する気になれません。。
 
充電は0.5C以上1C以下とする?
 
リポは自己放電率が極めて小さいので、別に0.1Cでも充電可能なはずです。(当然時間はかかります)この0.5Cというのはカットオフタイマーの問題かもしれません。専用ICはその充電過程において想定される時間を超えた場合に充電を中止する機能が組み込まれています。
 
最大1Cはメーカー指定値みたいですからそれに従うのが安全でしょう。ただ、自分の場合は1.2Cとか1.3C位はOKにしてます。
 
1セル当り3.0V以下まで放電すると電池が壊れる?
 
無負荷時の起電力が2.5V以下まで深放電した電池は復活しないみたいです。負荷をかけた場合の一時的な電圧降下は問題ありません。(この場合は最大放電電流で規定されます)
  
直列使用で問題はないのか?
 
これは導入当初からの自分の疑問です。放電時にはセルバランスが崩れたとしてもそれなりに電流が流れるわけですから問題は無いと思います。ただ、終止電圧ギリギリまでの使用は問題が出る可能性がありますので、早めにモーターオフするような使い方をしています。
 
充電時には問題が出る可能性があります。何回か使用したバッテリのセルバランスを見てみると分かりますが、0.3V位ばらついている事があります。このまま直列充電するとめちゃくちゃになりそうですが、そうでもありません。充電中に4V付近まで電圧が上昇するとその電圧増加率がかなり鈍くなり、遅れたセルの電圧が追いついてくるようになります。その後セル間の電圧差は無くなる傾向となり、各セルとも4.2V付近で落ち着きます。ただ、その過程においては4.2Vを超えるセルが出る場合もありますのでセルバランスはたまに取り直したほうが良いのは確かです。
 
一般的に産業用のリチウムイオン電池にはセルプロテクタが電池パックに内臓されています。この機能をつけたリポがアメリカ・グレートプレーンズから販売されたみたいです。
 
充電電流は必ず親電源側で計測する?
 
 これもどこかのHPで見かけた内容ですが、バッテリ側で計測しても問題無いです。特に充電末期は充電電流も減るわけですから、アンメータの内部抵抗も問題にはなりません。
 
充電終了電圧が4.20Vにならない!
 
 これは自作充電器を製作中の失敗談です。20年位使っていたテスター(3桁半)が0.03Vもずれていました。今までは不自由を感じたことは無かったですが、リポを扱うためにはきちんとした、出来れば校正したテスターは必需品です。
 MAX1737の充電終了電圧(電流値が0になったとき)は4.197〜4.198V(室温20℃位)と驚異の精度です。これを測るためには4桁半のテスターが必要です。
 
充電が終了したら過充電にならないようバッテリを速やかに外すこと?
 

 前記の充電方式を採用している充電器であればこのようなことは有りません。なぜなら、100%充電の状態とは電流値が0になるからです。
 特に充電Cが小さい時にタイマーカットされる場合等、満充電になっていない場合は再度追い充電することも可能です。
 
 (2004.12.01追加)
 ただし、充電完了後もトリクル充電電流を流しつづけるタイプの充電器は、充電完了後にただちにバッテリを外します。数時間放置して(付けっぱなしにして)リポが爆発した事例もあるようです。
  Shulze isl-330d等、電流値をデジタル制御しているものに多いみたいです。
 
 

  

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