[MN-017] シリアルセルバランサー

2004.05.11掲載
2004.09.03更新
 

セルバランサーの試作(2004.05.11)
 
セルバランスについて 

 リポを直列で使用した場合の話です。機体への搭載状況または電池パックの組み方によりセル間で温度差が発生することは容易に想像できます。リポは温度変化にかなり敏感で、温度が高いセルほど放電力が大きくなります。
 使用後の電池パックを充電する場合を考えてみます。高放電した(温度が高かった)セルほど残容量が少なくなっている訳で、残容量に応じてセル間の開放電圧に差が出てきます。トータル電圧で充電を管理する訳ですから、残容量の多いセル(放電中の温度が低かった)ほど過充電となり、残容量の少ないセル(放電中の温度が高かった)は満充電されなくなってきます。
 この放電と充電のアンバランスは使用回数に応じて大きくなることが問題です。限界を超えた場合は充電によるセルの劣化、事故(発火?)、放電中の過放電によるセル破損の可能性も考えられます。片セルが満充電されない訳ですから取り出せるパワーも少なくなります。
 ”2〜3セルであれば気にしなくても良い。”と言う人(メーカ含む)もいるみたいですがセルバランスをとったほうが良いことは明らかだと思います。
 
 下の図はバッテリクーロンメータ用ICを作っているDallas社のアプリケーションノートからの抜粋です。一般的な傾向として理解しています。
 
 セル温度と放電容量のグラフ MAXIM(Dallas)-appnote131-page2
 

その手法

 バランス取りの簡単な方法は組セルから中間端子を引き出して、それぞれを単セルとして充電する方法です。もしくは単セルを使用時に直列接続して使用しても同じです。
 自分も2セルについてはその方法でやっていましたが、3セルを使うに当り断念しました。なぜなら充電の3倍近い時間が必要となるからです。
 
 直列充電時に各セル電圧を監視して頭揃えする方法を考えてみました。この方法のアイディアはその電圧を4.2Vではなく、少し下げた4.1V付近とするところです。この程度の電圧であれば市販品の充電器の充電終止電圧に干渉しないはずですから、充電器に接続して使用できます。残りの充電過程においても制限電圧4.2Vを超えるセルは出ないと思います。

3セル直列の概要図です。
 
電流ソースはCHG+から与えます。(充電器でOK)

平衡電圧(例えば4.1V)に達するまでは充電電流はセルからの引き出し線(点線で表示)を通してバッテリー側へ流れます。(充電されます)

平衡電圧に達するとFETがONして電流がバイパスされて各セルの電圧が揃う訳です。

この回路はセル単位で動作しますので、セルの数だけ回路を直列に増やすことが可能です。

 

  

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